2007年マイベスト本 [好きな本]
今年読んだ本の中から、特に印象に残ったものを選んでみました♪
残り半月の間に、他にいい本に出会えたら、追加します(^^;
交通事故に遭った兄弟。11歳の兄は助かったけれど、妹は亡くなり・・・。
涙が止まらず泣きながら読みました。
物語は、兄が死んだ妹へ毎日のように宛てた日記形式の手紙で進んでいきます。
ノンフィクションかと思うほど、リアルな子供の姿と心が描かれていると感じました。
そして、この物語はいったいどこにたどり着くのか、そればかりが気になりました。最後ももちろん涙です。
変化球なんか無いし、またそのようなものは必要がない、真っ直ぐな作品でした。
川の工事のために住み処を追われたクマネズミの兄弟と父親が、新しい住み処を求めて旅に出る冒険譚。
元々は読売新聞に連載されていて、毎日楽しみに読んでいました。
何度も命の危機に晒されながらの冒険物語は、手に汗を握るほどハラハラドキドキの連続。
家族の絆や友情も盛り込まれ、また考えさせられることも多かったです。
そして、何よりも最高の読後感を与えてくれました。
子供から大人まで皆にオススメしたくなります。
少女と少女にしか見えない不思議な生物の物語らしいということで、
最初はおーなり由子さんの『モーラと私』のような、温かく胸にじーんとくるような話を想像していたけど違っていました。
一言で言うと、不思議な話。
すごく良かったというわけでもないし、「面白かったよ。読んでみて♪」なんて人に薦めたくなる本でもない。
でも読みながら涙が止まらなくなりました。
特に、今にも命が尽きそうな老犬のセミマルの話のあたりは読んでいてつらかったなぁ・・・。
ともあれ、表現力や感性のよさを感じるような本でした。
特に、最後の場面をイラストで表現したところが巧いと思いました。
新聞の小泉今日子さんの書評を見て知った本です。
まず、この興味を惹かれるタイトルがすっごくいい!味のあるクマの絵もいい!
中身は、動物たちが主人公の寓話が7つ収録されています。
ブラックユーモアを織り交ぜたピリッと辛い話を想像していたけど、辛いというよりも苦味のある内容でした。
また、結末が読めそうで読めない感じで結構楽しめました。
イソップ童話のような教訓めいた感じですが、主人公たちの滑稽な姿がどこか現代の大人たちの姿と重なります。
そういえば、今年はミステリーを一冊も読まなかったわ;;
皆さんは素敵な本に出会えましたか?(^^)
クリスマスの木/よるくまクリスマスのまえのよる [好きな本]
毎年恒例の、ニューヨークのロックフェラー・センターに飾られるクリスマスツリーをめぐる物語。
クリスマスが近づくと真っ先に思い出す本です。
表紙の絵の可愛いさに手に取りましたが、想像していたよりもずっと心が温まる素敵なお話でした。
ツリーにする木を探していたロックフェラー・センターの造園管理部部長ジェシー・キングは、
ある日、修道院の敷地の中に立つ立派な木を見つけます。
けれどその木は、シスター・アンソニーが"トゥリー"と名付け、大切に育ててきた
かけがえのない存在だったのです。
シスター・アンソニーの"トゥリー"に対する想いの深さには、
言葉では言い表せないほどの感動を覚えました。
そして、シスター・アンソニーの影響によって、ジェシー・キングの心が変化していく過程。
さらに、なぜ、シスター・アンソニーが"トゥリー"を手放すことを決意したのか?
とにかく感動でぼろぼろ泣いてしまいました。本当に宝石のような物語です。
クリスマスには心温まるお話がよく似合いますね。
「よるくま」の第2弾絵本。前作同様に素敵で温かなお話です。
クリスマス前夜、
主人公の男の子は自分のところへはサンタさんが来てくれないかもと、とても不安でたまらない。
それは、お母さんにたくさん叱られたから。
悪い子のところへはサンタさん来てくれないかも・・・
そんな男の子のところへ友達のよるくまがやってきます。
親子の愛情、友達への思いやりの心があふれるハートウォーミングなお話。
夜のお話なので、黒い色がたくさん使われているけれど、どうしてこんなに温かく感じるのでしょう。
この温かさにいつまでも包まれていたい気持ちになります。
クリスマスツリーのオーナメントも小道具として上手に使われているところも楽しいです。
そしてなんといっても、よるくまの表情やしぐさの一つ一つが可愛いくてメロメロです(笑)
ごんぎつね/新美南吉童話集 [好きな本]
ある日、いたずら心から兵十のうなぎを盗んでしまった、狐のごん。
でもそのうなぎは、兵十が病気の母のために獲った大切なものだったのです。
その後、ごんは罪を悔いて兵十に償いをするのですが、気持ちはなかなか届かず……。
黒井健さんの絵が目当てで買った絵本ですが、
まさか号泣することになるなんて思いもしませんでした。
この作品は小学校の国語の授業で習ったので、ストーリーもそれなりに分かっていたはずなのに、改めて読むと凄く切なかったです。
兵十はその後、どんな想いで生きていったのだろうかと思うと胸が詰まります。
また、黒井健さんのやわらかな絵がお話とマッチしていて余計に涙を誘います。
切ないけれど、何度も開きたくなる絵本です。
『ごんぎつね』の作者・新美南吉の童話集。
宮沢賢治の作品とよく比較されがちですが、読みやすさでは新美南吉の方かなと感じます。
【収録作品】>>「ごん狐」、「手袋を買いに」、「赤い蝋燭」、「最後の胡弓弾き」、「久助君の話」、「屁」、「うた時計」、「ごんごろ鐘」、「おじいさんのランプ」、「牛をつないだ椿の木」、「百姓の足、坊さんの足」、「和太郎さんと牛」、「花のき村と盗人たち」、「狐」
「赤い蝋燭」は本書の中で一番可愛い作品です。
拾った蝋燭を花火だと思い込んだ猿が、山の仲間たちとわくわくしながら点火するお話。
とても短いお話だけれど、なんともいえない温かい気持ちになります。
「ダメ~!点火しちゃダメ~!」と心の中で叫びました(笑)
一番読みごたえがあったのは「最後の胡弓弾き」。
長い年月の流れとともに、移り変わっていく時代の淋しさを感じました。
最後の場面が実に可哀相すぎて、主人公・木之助の落胆した背中が目に浮かびます。
このお話に限らず、南吉の作品はどれもラストシーンがとても印象に残ります。
この後どうなるんだろう?と気になっているさなか、「はい、これでおしまい!」と、
なんの前触れも無く突然ぽんっとラストを手渡されたようで、戸惑ってしまうことも多いです。
だから主人公たちのその後の安否が気になって仕方ありません。
心温まる優しい話から、淋しいもの、ちょっと怖いものまで、
本当にユーモアがあふれていて胸に浸透する童話集です。
普通の文庫本なので、大人が読むのに向いています。
ななつのこ [好きな本]
短大生の駒子を主人公に、誰もが遭遇し得る、身近な「日常の謎」を追った連作短編のミステリー。派手さや驚きといったものはないけど、雰囲気がとても好きです。
ひと言で言えば、殺人事件の起きない穏やかで優しいミステリーといった感じで、
表面的にはほのぼのしているけど、悲しみや痛みや、様々な部分を持ち合わせていて、
軽さと重さのバランスが絶妙です。
「謎」はいつだって自分の近くにあるもので、
そしてその「謎」の裏にあるものに気が付くということは、
きっと日常を平らなものから立体なものへと変え、鮮やかな色付きにしてくれる術なのでしょう。
この作品はそんな素敵なことを教えてくれました。
第3回鮎川哲也賞受賞作です。